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Googleアラートから新電力関連の情報を集約

エナリス、上期は黒字化を達成 「クラウド型検針システム」を開発

2018年8月15日に行われた、株式会社エナリス2018年12月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料

2018年12月期第2四半期(累計期間)P/L内容

2018年12月期第2四半期(累計期間)顧客区分別サービス実績

売上高の増減要因分析

営業利益の増減要因分析

第2四半期累計期間のコスト動向

法人需要家向けサービス(エネルギーエージェントサービス)の動向

新電力事業者向けサービス(小売電気事業者向け需給管理サービス)の動向(1/2)

新電力事業者向けサービス(電力卸取引)の動向(2/2)

バランスシートの状況

2018年12月期 決算見通し(P/L)

2018年12月期 決算見通し(四半期動向イメージ)

2018年12月期 決算見通しにおける期初との差異

2018/12期 KPI見通しについて

下期トピックス~クラウド型検針システムの提供開始 (8/2 プレスリリース)

九電が今秋、ニューヨークに事務所

 九州電力は24日、米ニューヨークに今秋、現地事務所を新設すると発表した。米国事務所はグループで初。ガス火力発電所を中心に現地事業者の建設プロジェクトへの投資を機動的に進め、米国での収益力を高める。

米国では「シェールガス革命」によって、天然ガス価格が低下している。この結果、ガス火力発電所の新増設が相次ぐ。

 九電グループの現地事務所は、こうした現地の発電事業に関する情報を収集・分析し、投資先を選別する。

 ニューヨーク事務所は、子会社のキューデン・インターナショナルが設置する。当面は社員1人を派遣する。同社の金尾忠開発総括室長は「出資案件など米国市場はスピード感が重視される。それだけに現地に事務所が必要だ」と語った。

 九電は同日、米国3件目となるオハイオ州のガス火力発電所新設事業に参加したと発表した。21・4万キロワット分の権益を得た。

 国内の電力市場は自由化で競争が激化し、人口減少による先細りが想定される。九電は海外での事業開拓に注力する。オハイオの参加によって、海外発電事業の持ち分出力は、計197・5万キロワットとなった。2021年までに240万キロワットを目指す。

 九電常務執行役員(国際担当)の掛林誠氏は「目標はできるだけ前倒しして達成したい。案件ごとに収益性とリスクを精査し、今後も投資を進める」と語った。

東電など4社、原発提携へ 作業効率化 維持費用削減狙う

東京電力ホールディングス、中部電力東芝日立製作所の四社が原発事業で提携する方向で調整を始めたことが二十二日、分かった。原発の保守管理を担う新会社の設立や廃炉作業の共同化などを検討する。東京電や中部電が抱える原発はいずれも再稼働していない中、提携による作業の効率化で維持費用の削減を狙う。

 原発事業では、東電と中部電は廃炉が決まった福島第一などを除くと、柏崎刈羽原発新潟県)と浜岡原発静岡県)で計十基を保有しているが、東日本大震災後はいずれも稼働していない。

 これらは福島第一と同型の沸騰水型軽水炉(BWR)で、東芝や日立が建設した。四社で保守管理や安全対策工事のノウハウを共有することで、費用削減を狙う。

 福島原発事故以降の規制強化で安全対策の費用が高まっており、全国的な原発再編の構想も浮上している。東電と中部電は、共同会社のJERA(東京)を立ち上げており、火力発電事業を二〇一九年春に統合する。

 東芝や日立は、三菱重工業とともに原発の燃料製造事業で統合することで調整を進めている。 (伊藤弘喜)

東電、全国で商店などにも電力供給へ 数万件獲得狙う

東京電力ホールディングス(HD)は、2018年度中に全国で商店などの小口の法人向けにも電力販売を始める。東電は関東域外の法人向けの電力販売が伸びているが、工場やオフィスなどの大口への供給が中心だった。大口と小口の需要への供給を一括で担える体制を整備し、域外の電力販売のさらなる拡大を狙う。

販売は東電HD傘下で、域外の法人に電力を供給している新電力、テプコカスタマーサービス(TCS)が始める。販売

丸紅新電力、光回線と電力のセット割サービスを開始

丸紅グループの丸紅新電力(東京都中央区)は、電力サービスと光回線サービスを合わせて契約すると、月々の電気料金を割引く新サービス「丸紅新電力ひかり」の申込を9月3日より受け付ける。

なお、このサービスは、キューアンドエー(Q&A/東京都渋谷区)と光回線の再卸契約を締結し、NTT東日本(東京都千代田区)とNTT西日本大阪府大阪市)の光コラボレーションモデルの光アクセスサービスを活用して提供するもの。

光回線(インターネット回線)と電力のセット商品

光回線サービス(全国統一)は、戸建てタイプが月額4,700円(税抜き、以下同)、マンションタイプが月額3,700円。別途、インターネットサービスプロバイダ利用料(500円)、事務手数料(800円~)、工事費(15,000円~)などがかかる。割引は電力サービスと光回線サービス双方の提供が開始した月から適用となる。

またオプションとして、丸紅新電力でんわ(月額500円~)、丸紅新電力てれび (月額660円~)、リモートサポート(月額450円~)が用意されている。

環境保全などに貢献するプランも提供

丸紅新電力は2016年の電力小売りの自由化以降、スタジオジブリ(東京都小金井市)と提携し、電気料金の一部を森と緑の保全活動に充当する「プランG」を提供してきた。

また、東京交響楽団(東京都新宿区)と、ペット保険ビジネスを展開するアニコムホールディングス(同)、横浜F・マリノスを運営する横浜マリノス(神奈川県横浜市)とそれぞれパートナーシップ契約を締結し、2018年4月から、電気料金の一部を、芸術文化の支援、動物の保護活動、スポーツ振興に充当する、新たな電力プランの受付を開始した。

新たなサービス「丸紅新電力ひかり」では、これら丸紅新電力の電力サービスと光回線サービスを合わせて利用する顧客にはさらにお得な電気料金の提供を行う。顧客には毎月のお支払いを電気料金と一つにまとめることができるメリットもある。

同社は、これまで電力小売事業者として健全な電力市場の発展に寄与すべく、適正な電力価格での電力供給を進めてきたと説明する。しかし、今後は電気関連製品を扱う事業者や、電気とは関係のない事業者など、様々なパターンでの提携を検討し、さらに付加価値の高いエネルギーサービスや生活支援サービスを充実させていくとしている。

例えば、電気を利用する顧客の生活がより便利で快適になるような各種サービスを強化しており、「丸紅新電力ひかり」はその第1弾となる。

TOKAIがみんな電力と資本業務提携、ブロックチェーン活用の再エネ事業に着手

 株式会社TOKAIホールディングスは8月13日、みんな電力株式会社が業容拡大を目的として実施する第三者割当増資を引き受けるとともに、同社の再生可能エネルギー事業分野参入に関する資本業務提携について合意したことを発表した。TOKAIホールディングスは、再生可能エネルギー事業分野において、2019年4月に新会社を設立し、再エネ電力の販売や蓄電池販売・メンテナンスなどの関連サービスを開始予定で、みんな電力と事業化の本格検討に着手した。

みんな電力は、「生産者の顔が見える」電力小売りサービスをコンセプトに、全国各地より調達する再エネ電力を、独自の電力取引プラットフォームで販売する実績を持っている。2019年4月に設立予定の新会社では、電力生産者が電力会社を介さず、電力を直接消費者に販売する際に、みんな電力が開発するブロックチェーン技術を活用し、顧客基盤を活かした再生可能エネルギー事業を展開するという。

 2019年以降、国によって制定された電力の固定価格買取制度(FIT)による買取期間が終了する。TOKAIホールディングスは、買取期間終了後に、太陽光発電などFIT電源を保有する個人や企業が再エネ電力の販売を行うなど、電力の供給が大規模供給モデルから、企業や個人による分散モデルへとシフトすると想定している。また、CSR(企業の社会的責任)などの観点から、大手企業が再エネ電力を供給源として選択するなど、再エネ分散電源化の動きを後押しするとも見ている。

 この資本業務提携により、みんな電力の業界最高レベルの再エネ比率の電力を活用し、グループの既存の個人ユーザーおよびCSRに積極的な法人ユーザー向けに再エネ比率の高い電力を供給し、TOKAIホールディングスのブランド価値を高めていくという。また、他の事業者とのアライアンス施策として、全国のガス事業者やCATV事業者など、同社が得意な分野に対しても積極的に展開を行っていく考えとのこと。

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プレスリリース(TOKAIホールディングス

TOKAIホールディングス 公式サイト

みんな電力 公式サイト

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社員・家族を対象に「FIT電気切り替え手当」、アミタが創設

アミタグループは8月9日、社員およびその家族の自宅を対象に、FIT電気(再エネ由来電気)への切り替えを促す新しい手当制度「あみ電手当」を創設した。同時に、国内の自社製造所および自社オフィスについても、よりFIT電気比率の高い電力への切り替えを進めていく。

 「あみ電手当」は、同社社員が電力契約をFIT電気比率の高い電力プランに切り替えた場合、毎月手当を支給するというもの。切り換える先は、アミタの指定した電力会社の再エネプランに限定する。補助する対象は、グループ正社員および一親等(父母・配偶者・子)にあたる家族の自宅で、手当額は1世帯あたり月額200円(年額2400円)。例えば、自宅と実家の2世帯で切り替えると月額400円(年額4800円)が支給される。

 指定した電力会社は、みんな電力(東京都世田谷区)と自然電力(福岡市)の2社。みんな電力のプランはFIT電気(再エネ由来)比率75%、自然電力のプランはFIT電気(太陽光)比率39%で非化石証書の調達によりCO2排出量ゼロとしている。

 両電力会社を選定したのは、FIT電気比率の高いことに加え、サービス提供エリアが広域であること、企業理念についてアミタと親和性があることなどを理由に挙げている。今後、年に1度。追加や見直しを行う予定。

 また、国内自社拠点については、8月にアミタ姫路循環資源製造所(第一工場・第二工場)と姫路オフィス、10月にはアミタ北九州循環資源製造所と茨城循環資源製造所を、みんな電力の提供する電力プランに切り替える。電力量は年間約145万7000kWhで、CO2削減量は約40t、前年比の削減率は約35%となる。

 アミタグループは、脱炭素社会の実現を目指す企業・自治体などが参加する「気候変動イニシアティブ」に発足時から参加している。これまで、2016年に排出された宮城県南三陸町のバイオガス施設「南三陸BIO」の運営に係るCO2(113t)を同町内のFSC認証林が生み出すクレジットでオフセットするなど、積極的にCO2削減対策に取り組んできたという。

電力・ガス自由化 首都圏夏の陣(上)東京ガス 深キョンCMで申し込み7倍

■2週間で4万5000件申し込み

2016年4月の電力に続いて、17年4月には都市ガス小売りも全面自由化され、エネルギー産業は大競争時代に突入した。大消費地の首都圏は、エネルギー産業にとっても国内最大の市場。電力・ガス小売りの垣根がなくなって2年目の夏を迎え、首都圏を地盤にする...

関西企業の電力調達先、関電盛り返し 本社調査

日本経済新聞は関西の主要企業を対象に電力調達調査を実施した。関西電力が大幅値下げした2017年8月以降、契約先を関電に変更した企業が、関電からほかの電力会社に切り替えた企業よりも多かった。関電だけと契約する企業は全体の過半を占める。原子力発電所の停止で価格競争力が低下し、新電力などに顧客を奪われていた関電が盛り返しつつある。

調査は関西に本社や工場、店舗を置く大手企業72社を対象として7月下旬~

<特別対談>勝てない新電力に足りないモノ

「日経エネルギーNext経営塾」の講師陣が明かす新電力の課題とは

山根 小雪=日経エネルギーNext2018/08/22 04:00 1/3ページ

 電力全面自由化から2年。新電力にとって厳しい事業環境が続いている。事業継続が危ぶまれるほどの苦境に追い込まれている新電力も少なくない。だが一方で、苦しい中でも売上高を数百億円単位で伸ばしたところもある。この差は何から生まれるのだろうか。新電力の経営人材を育成する「日経エネルギーNext経営塾」の講師3人に、苦境にあえぐ新電力に共通する課題を語ってもらった。

厳しい事業環境でも成長している新電力と苦境にあえぐ新電力。その差はどこにある?

日経エネルギーNext経営塾の講師陣(写真:的野弘路)

村谷法務行政書士事務所・村谷敬所長:需給管理を中心に新電力のコンサルティングを手がけています。これまでに70~80社の新電力を見てきて感じるのは、「販売電力量ランキングは当てにならない」ということ。事業の巧拙は、事業規模ではなく、経験年数によるところが大きいなと。

ビジネスデザイン研究所久保欣也社長:東京電力出身で、今は新電力の設立支援などを手がけています。確かに、新電力の人は、電気事業をやろうとしているのに、ルールを知らない人が多すぎますよね。例えば、電気事業法。読んだことがない人が多過ぎます。絶版になっていますが、「電気事業法の解説」(経済産業調査会)は読んでおかなければならない必読書です。

 電気事業法だけじゃない。電力広域的運営推進機関の「スイッチング支援システム取扱マニュアル」も読んでいない新電力が多い。自社の顧客を増やすには、スイッチングが必須。それなのに、スイッチング時の契約方式すら理解していない。知らないことが理由で、逆ザヤになってしまっている新電力もいるくらいです。電気事業は規制領域ですから、制度を知らないと話になりません。

I.T.I柏崎和久社長:経済産業省の「電力小売り営業の指針」(小売りガイドライン)を読んだことない人も多い。今春まで新電力エフビットコミュニケーションズ(京都府)の社長をしていたんですが、エフビットはそれまで通信が本業で、電気事業は全くのド素人からのスタートでした。

柏崎和久(かしわざき・かずひさ)氏 I.T.I代表取締役社長、エフビットコミュニケーションズ前社長、技術士(経営工学部門)

中央大学理工学部電気電子工学科卒業後、関電工に入社。バイオマス発電ベンチャー、大型蓄電池ベンチャーを経て、日本電気株式会社(NEC)へ。2017年4月に新電力エフビットコミュニケーション社長に就任。わずか1年でエフビットの売上高を倍増、利益率を大幅に向上させた。その経営手腕が買われ、2018年3月に退任後、電力ビジネスにかかわる複数企業でアドバイザーを務める。(写真:的野弘路)

 ただ、周りを見渡すとそんな会社ばっかりでしたよ。みんなルールを知らない。知らないから営業力に走ってしまう。需給管理に至っては、あぶなっかしいやり方になりがちです。それでも儲かっている間はいいけれど、昨冬の日本卸電力取引所(JEPX)の価格高騰で「勉強しないとマズイ」と感じた新電力は多かったんじゃないでしょうか。

久保氏:例えば、燃料費調整額がマイナス4円の時、ある新電力の人が「燃調がマイナスだからきつい」と言っていました。燃料費調整額がマイナスになれば、大手電力会社との価格競争では有利に働きます。追い風なのに、気づいていない。燃料費調整額が上がったら、新電力は吹きとんでしまうかもしれないのですが、誤解したままです。

なぜ新電力は学ばないのか

村谷氏:全面自由化前は、電気事業は素人とはいっても、事業に携わっている人の多くが電気主任技術士とかエネルギー管理士とかの有資格者でした。ところが今では、電気の「で」の字も知らない、本当の素人が多いですよね。

柏崎氏:電気事業には精通している大手電力会社も、新電力事業のことは知らない。大手電力の人は需給管理をやったことがないですから。大手電力の方にお越しいただいて需給管理などの研修をやったことがありますが、とても好評でした。

久保氏:私は2007年に東京電力に入社して、東日本大震災の前に辞めました。東電の新入社員研修のことを思い出すと、エネットやエネサーブを知っていたのは300人中3人しかいませんでした。

柏崎氏:どうして新電力は学ばないのか、その理由を考えていました。私がたどり着いた結論は、新電力は大手電力会社へのリスペクトが足りてないということ。だって、JEPXから電源が調達できるのだって、大手電力がいるからです。大手電力の存在なしに、新電力のビジネスは成り立たない。

久保氏:ルールに加えて、電気の歴史も知らなすぎると感じています。

村谷氏:松永安左エ門を知らない人が電気事業をやったらダメですよね(笑)。電気事業の歴史には、示唆がたくさんあると思います。

久保氏:今はネットで検索すればすぐに資料が見つかりますが、東日本震災前までは本当に資料がなくて、新電力への参入障壁は高かったですよね。村谷さんは、どこで電気事業を勉強したのですか?

久保欣也(くぼ・きんや)氏 ビジネスデザイン研究所(BDL)社長

東京大学大学院工学系研究科化学システム工学専攻修了後、東京電力に入社。東電では事業開発部にて新規事業の事業化やM&Aに従事した。その後、ドリームンキュベータにて、全社的な事業拡大戦略の策定支援、技術分野での新事業開発の立案や実行支援を行った。2015年11月にビジネスデザイン研究所を設立。電力分野では新規事業の立ち上げや新電力の経営視点を手がけている。(写真:的野弘路)

村谷氏:太陽光発電補助金がきっかけでした。行政書士をしていた時、高齢の顧客の元に悪質な業者が太陽光発電を売りに来たんです。これは理論武装しないといけない、と。地元の経済局に足を運んだりして勉強しました。そうしたら面白くなってしまって。その後、エナリスに入社し、需給管理業務を手がけるようになりました。2010年頃ですね。

 久保さんの言う通り、当時は今のように資料が豊富ではなかったので、託送供給約款を読んだり、東電のIR資料を読んだりしました。東電の事業計画をさかのぼって読んでいったら、「一般家庭の自由化は2200年までない」と断じてあったり(笑)。電力会社のネットワークサービスセンターに質問することも多かったですね。すると、「この本を読んでください」と教えてもらえたりしました。勉強するという意味では、逆に良かったのかもしれませんね。

柏崎氏:よく勉強もしないで新電力事業に乗り込んだ人が多い理由は、メガソーラー事業がバブルだったからだと思います。太陽光発電所を所有したことで、「俺は電力会社だ」と勘違いしてしまった。それこそ「発電所を持っているのだから大手電力と対抗しても良いんだ」と。

 こういうマインドで新電力を始めるから、どうしても勉強不足になります。もっと勉強しないといけないし、だからこそ魅力的な業界にしていかないといけない。

新電力はビジネスモデル次第で儲かる

久保氏:電力が通信に似ていると思うのは、ビジネスモデル型の事業であること。電力の場合、50年前に電気料金と電気事業法などの制度を作った人の功績です。それこそ寝ていても儲かるビジネスモデルを作ったわけです。

 新電力もビジネスモデルを作ったら、規模を大きくするのは大変かもしれませんが、すぐに儲かります。やりようによっては、事業規模も大きくできる。夢のある事業だなと思います。

村谷氏:それは同感です。新電力は2年頑張ったら売上高100億円、200億円が不可能ではない。夢がありますよね。もっといろいろな企業にビジネスとして参入してほしいです。

村谷敬(むらたに・たかし)氏 村谷法務行政書士事務所所長、環境エネルギー技術研究所上級研究員

成蹊大学法学部法律学科卒。エナリス、エプコと電力自由化業界での経験を基礎に、電力ビジネスのコンサルティングを行う。これまでに約120社の小売電気事業者のビジネスに携わり、2011年以降では32社のプロジェクトを手がける。地方創生の一環としての電気事業立ち上げにも習熟。北海道から沖縄まで縦横無尽に活動する。(写真:的野弘路)

 ただ、100億円、200億円の次をどうするかが問題。これまで、こういう金額のビジネスをやったことがない経営者が多いので、どんな体制が必要になるのかという感覚に欠けている。10億、20億のビジネスをしていた人が新電力を始めて、突然100億円になると、維持することしかできないから、徹底した保守主義になってしまう。これではイノベーションは起こせません。

久保氏:多くの新電力が、マーケットニーズを捉えられていないと感じます。新電力の人と話していても、聞こえてくるのは大きすぎる話ばかり。再生可能エネルギーとか、それこそ「卒FIT」とか。市場の成熟度の問題かもしれませんが。

柏崎氏:新電力事業を始めた1年目はシンプルにやろう、2年目は武器が必要だよ、と順を追って進めていく必要があると感じています。従業員の熟度が上がってこないと、やれることには限りがあります。シンプルな商材を持ち前の営業力で売るところから始めれば、電気のことを少しずつ理解していきます。そうなって初めて、他社と差別化するための武器を考える余裕がでてくる。

小売電気事業者になる必要はあるのか

久保氏:そもそも新電力、小売電気事業者になる必要性は何なのか。もっと深く考えてほしい。

村谷氏:本業の商品力がないなら、電気とセットにしたところで売れるはずがない。なぜ電気がついたら売れる思うのか。ガス会社などは良いポジションにいると思いますが、現時点では電気とガスのセット割引くらい。

 私の考える理想形は、発電と小売りをセットにすること。英国のグッドエナジーのように、ブランディングにマッチした発電所を自分たちで作る。こういう人たちが生き残っていくと思っていた。そうじゃなかったら媒介でも代理でもいいんじゃないかな。

久保氏:その市場は1つ、あると思います。でも、プレミアムでニッチですよね。1兆円にいかないくらいの市場規模かな、と。市場の大部分が小売事業ではないでしょうか。営業力が売りなら、良いパートナーがいれば媒介で十分。取次になる必要もありません。小売電気事業者になるからには、別の意義があるはずです。

柏崎:事業をやる意義というのは、ものすごく重要です。事業をやるときは、まず「なぜこの事業をやるのか」を明確にしないと、すべてがブレてくる。意義を明確にして、従業員にしっかり理解してもらえば、おのずと戦略・戦術が明確になります。

 エフビットの場合は、社是は「和をもって尊しとす」としました。原子力発電所事故があって、太陽光発電バブルが起きた。メガソーラーで儲かった人たちが騒いでいるばかりの電力業界ではく、秩序ある業界であってほしいと考えました。そして、エフビットはその中の1プレーヤーでありたい、と。業界を変えていく会社の1つにしていこうと、社員にも何度も何度も話をしました。

需要家は電気料金の単価に関心がない

久保氏:新電力がベンチャー企業として勝負する以上、人のモデルを真似するのは基本の1つだと思うのですが、今の新電力はあまり真似をしませんよね。例えば、新電力Looop(東京都台東区)の「基本料金ゼロ」というメニューは、分かりやすく、ユーザーに受け入れられましたが、他社は追随しませんでした。Looopがこのメニューを継続しているということは、一部逆ザヤの顧客がいたとしても、それ以上にうまく言っているという証左なんですけれどね。

 全面自由化を迎えて、新電力各社は「基本料金が大手電力の○%引き」「従量料金が△%引き」というアピールをしていましたが、ユーザーにしてみたら電気の単価なんてどうでも良い話だと思うのです。その証拠に、「新規契約でキャッシュバック5000円」というキャンペーンはものすごく当たりました。

 日経エネルギーNext経営塾では、電力業界のみなならず、他業界での成功事例も参考にしながら、自社に合った戦術を自力で作るための方法論を身に着けてもらいたいと思っています。

久保氏:電気の安定性が同じなら、手間がなくてコストが安いというのがユーザーにとって嬉しいこと。例えば、設備の運用保守も面倒みてあげるようなやり方が効果があると思います。複写機メーカーのビジネス展開は参考になります。昔はプリンターを売るのが仕事でしたが、その後はカウンター売りになりました。そして、今ではドキュメント周り、もしくはオフィス周り全体のソリューションを提供するようになっています。

「新電力は短期間での成長が見込める魅力的な事業」と講師陣は口をそろえる

左から久保氏、柏崎氏、村谷氏(写真:的野弘路)

柏崎氏:東電も特別高圧の需要家には、ESCOや省エネのコンサルティングを提供していますよね。省エネや運用保守は新電力にとっても、ビジネスチャンスになると思います。

村谷氏:需要家に最小限のピークカットをしてもらえば、調達改善ができます。新電力事業の収益改善をしたいなら、「調達改善メニュー」を作ったらどうですか、と提案していますが、誰もやってくれません(苦笑)。理由の大半が、社内に省エネ手法を理解させるのが難しいから。やりたいけれど、勉強はしたくない。しかも、自分の顧客の電気の使い方すら見ていない。これこそ、大手電力ができないことのはずなんですが。

柏崎氏:これは新電力の経営者として、すごく悩んだところです。教育の過程なしに営業担当者に「やってこい」と言っても、やれっこない。電気のノウハウがまったくないわけだから。だからこそ、シンプルな商品にして、「まずは1年間、このメニューを売ってこい」とい言いました。その間に少しずつ電気のことが分かってきますから。

新電力事業は決して難しくない

柏崎氏:新電力事業は、そんなに難しいものではないと思っています。日経エネルギーNext経営塾では、ド素人集団だった新電力で売上高を1年で2倍、3倍にできるセオリーをしっかり学んでほしいですね。従業員の教育も含めて、経営現場でぶつかる課題についても、共有したいと思っています

村谷氏:電力市場も、1円単位で価格を予測するのは難しいですが、ざっくりとなら予測できます。例えば、JEPXは大手電力などの余剰電気ですよね。もっとも量が多いのは東電の電気。東電の電気の多くはLNG液化天然ガス)火力発電所で発電しています。つまり、LNG価格の変化を見れば、電力価格も見えてくる。冷静に考えれば、分かるはずなんです。

 ただ、本には書いてありません。新電力事業を運営する中で、伝言ゲームで学ぶものだからです。今回の日経エネルギーNext経営塾では、電力価格を予想するための情報は何か、どうやって情報を入手するのか、どうやって読みこなせば良いのかを徹底的にレクチャーしたいと思います。

柏崎氏:新電力事業は、ちゃんとやれば利益も上がるし、今後も様々な可能性を秘めた魅力的なビジネスです。だからこそ、基本的な知識を早期に身に着けてもらいたいですね。

久保氏:新規参入組にも、勉強すれば身につく知識を早く身につけてもらって、業界全体の底上げに繋がることを願っています。

村谷氏:新電力同士の横のつながりも、もっとあって良いと思っています。そういう点でも、同じような課題に直面した新電力が、共に学び、切磋琢磨する場があるというのは良いことですよね。

電力自由化が崩す重電との蜜月

3月に全面運転を始めた中部電力の西名古屋火力発電所(愛知県飛島村)は世界で最も効率の良い液化天然ガスLNG発電所だ。発電所が達成した63.08%の発電効率はギネス世界記録の認定を受けた。

発電効率とは燃料が持つエネルギーをどれだけ電気に変えられるかの尺度だ。数字が高いほど燃料を無駄なく使っていることを示す。長尾和彦所長は「従来平均に比べてLNG消費を年間50万トン、二酸化炭素(CO2)排出量

電力小売における競争環境の整備、これまでの取り組みと今後検討されること

力の競争環境整備については、国がこれまで検討が進めてきており、様々な取り組みがなされてきました。また、2017年10月からは「競争的な電力・ガス市場研究会」において議論が行われており、8月には中間論点をまとめた報告書が発表されました。この記事では、これら電力小売りの競争環境に関する議論を整理します。

これまで行われてきた電力市場の競争促進を図る取組

生活必需品である電力やガスについて、自由化の恩恵は、競争的な市場によって実現します(料金の最大限の抑制や需要家の選択肢の拡大、事業者の事業機会の拡大等)。そのため、大手企業による市場支配力が不当に行使され、競争に歪みが生じることによって、料金が高止まりしたり、関連するサービスの革新が遅滞したりするような事態は避ける必要があります。

電力市場の競争促進を図る取組については、これまで各種行われてきました。旧一般電気事業者は、常時バックアップ、余剰電源のJEPXスポット市場への全量供出(限界費用ベースでの売入札)、グロス・ビディング、小売部門の予備力削減(電源開発株式会社の電源(電発電源)等)を実施してきました(図1)。

新電力、総額の7割落札 17年の道内公共施設、道外資本伸びる

道内で2017年に行われた公共施設の電力供給に関する入札で、新電力の落札額が全体の7割に達したことが分かった。道外に本拠を置く新電力が高額な案件を競り落とすケースが目立っている。電気料金の高止まりが続く中、北海道電力と新電力との激しい顧客獲得競争が続いていることがうかがえる結果となった。

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 東証マザーズ上場で入札情報の提供サービスを手がける「うるる」(東京)が、省庁や自治体、国立大学法人など公共施設への電力供給に関する入札結果を公開情報などからまとめた。

 17年の入札は373件で、落札総額は184億9900万円。このうち新電力が全体の73%に当たる135億3700万円で、件数は217件と58%を占めた。北電は49億6200万円(156件)だった。

「サーラの電気」 申し込み件数が3万件突破

 サーラグループの小売電気事業者サーラeエナジー豊橋市)が販売する家庭向けなどの低圧電力「サーラの電気」の申し込み件数が、7月末で3万件を突破した。

 一昨年4月の電力小売完全自由化に合わせて小売販売を開始。都市ガス、LPガスなどの会社を有するグループのサービス提供機会を生かしてPRしてきた。多くの顧客が安価となる電気料金、都市ガス・LPガスとのセット割りや、クレジット機能、ポイントサービスなどがある「サーラカード」での支払いによるポイントメリットなどが評価されているという。

 3万件突破に感謝し、サーラeエナジーは、利用者や新規顧客を対象に「3万件突破!ありがとうキャンペーン」を実施している。

 特典は、11月分電気料金が発生する全ての顧客(高圧電力は除く)に同月分電気料金1契約につき100円(税別)を割引。サーラカード支払いの顧客には、抽選で600人に5000ポイントをプレゼントする。契約中の人と、11月18日までに申し込みをした人が対象。

 また、サーラの電気を友人らに紹介し、ウェブで登録して利用が始まると、紹介者と紹介された人には1契約につきサーラカードのポイントを計3000ポイントプレゼントする。紹介受付期間は10月15日まで。

 サーラeエナジーは、中部ガス豊橋市)とサーラコーポレーション(同)が共同で設立した。

(中村晋也)

楽天、電力小売で沖縄エリア進出 新電力不毛地帯に一石を投じるか

楽天(東京都世田谷区)は8月7日、沖縄における電力小売業に進出すると発表した。

高圧・特高は9月、低圧は12月から

同社は今後、沖縄エリアを中心に、低圧、高圧・特別高圧を利用する法人に電力供給サービスを提供する。沖縄電力沖縄県浦添市)が提供する「卸電力メニュー」を活用し安定的な電力の供給を行うとともに、楽天グループが展開する沖縄エリアの事業基盤や那覇支社のリソースを最大限活かし、電力を中心に幅広いサービスを展開していく。サービスの開始は、高圧・特別高圧電力は9月1日から、低圧電力は12月以降を予定。

同社は、2013年6月に電力を中心としたエネルギーソリューションサービス「楽天エナジー」を立ち上げ、2017年2月には、経済産業省資源エネルギー庁による小売電気事業者の登録を受け、電力小売業に本格参入している。今回の沖縄エリア進出により、法人向け電力供給サービスエリアが全国に拡大した。具体的なサービス概要は以下の通り。

サービス対象

低圧、高圧および特別高圧の電力を利用する法人顧客。

提供サービス

低圧、高圧および特別高圧の法人向け電力供給サービス「楽天でんきBusiness」。なお、2018年8月1日より、「iシェアリングサービス」は「楽天でんきBusiness」へ名称を変更。

対象エリア

沖縄本島と電力系統がつながっている地域。対象外となっている地域は以下の通り。

栗国島、渡名喜島久米島奥武島、オーハ島、北大東島南大東島宮古島池間島大神島来間島伊良部島下地島多良間島水納島石垣島竹富島西表島鳩間島由布島小浜島、黒島、新城島(上地)、新城島(下地)、波照間島与那国島

電力を起点に、グループ力を活かした事業展開も

沖縄電力が管轄するエリアは、2016年の電力自由化後も、東京電力関西電力など都市圏の市場と比較し新電力事業者の普及が伸びないのが問題となってきた。また、卸電力市場がなく電力切り替えの環境が整備されていないこともあって、これまで新電力の「不毛地帯」とされてきた経緯がある。

この状況は、「電力・ガス取引監視等委員会」でもたびたび指摘されており、状況を改善すべく、2018年4月に経済産業省主導のもと、沖縄電力が「卸電力メニュー」を新設。これにより、楽天エナジーなどの新電力事業者が負荷追従部分への電源として同メニューを活用可能になり、従来のベースロード電源部分である「常時バックアップ契約」に加え、同メニューをミドル電源として利用できるようになった。

同社は今後も「卸電力メニュー」などを活用し、安定的な電力供給や市場の活性化・電力自由化を推し進め、健全な市場の発展に寄与していくとしている。また、沖縄エリアでは、電子マネー楽天Edy」をはじめ、旅行予約サービス「楽天トラベル」、ゴルフ場予約サービス「楽天GORA」などを通じ楽天グループと関わりのある企業が多数あり、電力を起点とした幅広い業務提携も期待できるとしている。