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電気とガス料金セット割に新電力参入 どこが安い?

 2017年4月のガス小売り自由化から1年が経過し、首都圏でもようやく価格競争に“点火”し始めた。いち早く新規参入した日本瓦斯ニチガス)・東京電力エナジーパートナー(東電EP)連合に加え、18年4月には新電力のイーレックスが、5月にはHTBエナジーが、それぞれ電気とガスのセット販売を開始。そして8月には、西から“大物”が首都圏に殴り込みをかけた。中部電力大阪ガスが共同出資したCDエナジーダイレクトが「あなた電気・あなたガス」の供給を始めるのだ。

 そこで、首都圏の1軒当たりの月間平均使用量(ガス30立方メートル・電気40アンペア契約250kWh)を基に、どの事業者のセット割が一番安いか試算した。

急増する新電力のガスセット割引。100円引きのHTBが最安に。

 最安となったのは、HTBエナジーだ。ガス料金は東京ガスの従来プラン(一般料金)の3%引き、電気料金は東電EPの従来プラン(従量電灯B)の5%引きというシンプルな料金体系が特徴。このため、乗り換えればガス、電気ともに確実に安くなる。ガスと電気をセット契約すれば、そこからさらに月100円(税込み。以下同)の割引が受けられる。

 次に安かったのがイーレックス。特にガスはHTBエナジーより若干安かった。これは基本料金が従来プランより5%以上安く設定されているため。使用量が少ないほど有利だ。一方、電気料金は120kWhまでは一般料金とほぼ同じで、それを超えると6~9%安くなる設定。つまり、ガスよりも電気を多く使うなら割安感が出てくる。セット割引はHTBエナジーと同じ月100円だ。

 新顔のCDエナジーダイレクトは、試算ではこの2社に次ぐ安値にとどまった。ガスは安めだったが、電気は300kWh以下の単価が高め。加えて、電気料金の水準以上に不利に働いたのが、セット割の仕組みだ。CDエナジーダイレクトではガス料金、電気料金がそれぞれ0.5%引きになる。これでは月に合わせて2万円以上使わないと、割引額が100円に達しない。電力消費量が月300kWh超の、平均よりも光熱費が高めの世帯ならメリットがありそうだ。

首都圏では10月にも「東急でんき」(東急パワーサプライ)がCDエナジーダイレクトの取次事業者としてガス小売りに参入するほか、「ENEOSでんき」(JXTGエナジー)も参入を表明している。各社とも東電EPや東京ガスよりもインパクトのある料金を打ち出すとみられ、乗り換えを検討してもいい時期に来ているといえるだろう。

原発再稼働で電気料金が値下げに。大阪ガスが対抗も関電に及ばず。

 一方、関西ではガス小売り自由化当初から大阪ガス関西電力の熾烈な価格競争が続く。大飯原子力発電所の再稼働に伴い、関西電力が7月から従来プラン(従量電灯A)を3.5%値下げ。新料金プランの「なっトクでんき」も約3%値下げした。これに対し、大阪ガスも電気料金を改定。ガスとのセット専用プラン「ベースプランA-G」は約4.6%の値下げとなった。ただ、料金単価は関電と同額かやや高め。関電はガス料金が大阪ガスよりも割安なうえにセット割引も付くので、合計額では料金差が拡大。大阪ガスはトラブル時の駆け付けサービスの付帯などの付加価値をアピールする。

■結論:新電力が安い首都圏、関西では関電が正解に

 首都圏では18年からガス販売に参入した新電力が安値を付けた。第一候補は、使用量が少なくても確実に安くなるHTBエナジー。セット割が月100円引き(税込み)と定額なので、使用量が多くない世帯が有利になる。イーレックスもさほど変わらない水準なので、必ず比較したい。関西では電気・ガスともに関西電力大阪ガスより割安。セット割引やポイント還元もあり、価格差は大きく、圧勝だ。