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新電力に切り替えてみて 再生エネ育てる「意義」 安定供給、質は変わらず /青森

 2016年4月に家庭向け電力の小売りが自由化されて2年が過ぎた。経済産業省によると、東北電力管内では今年3月末までの2年間で新電力への切り替えは約24万件。管内の電力契約件数の3・7%にあたる。新電力を使うとどうなるのか。これまで大手電力会社と契約してきた記者だが、自宅の電気を新電力に切り替えてみた。【一宮俊介】  記者が選んだのは、県内で昨春に発足した地域新電力会社「青森県民エナジー」(八戸市)。大間町の「市民風力発電おおま」の風車で生まれた電力を主に扱い、「エネルギーの地産地消」を掲げる。県外の資本は入っておらず、地域の中でお金が循環するよう取り組んでいる。そんなこだわりに共感できた。 広告 inRead invented by Teads  ただ、新電力に切り替えると言っても、分からないことは多い。「アパートの管理会社の許可はいるのか」「工事は必要なのか」。そんな不安も感じながら契約したのは昨年9月。取次店の県民生協の窓口に申込書を提出した。管理会社の許可は不要だったが、使用電力量を計るメーターを次世代型の「スマートメーター」に交換する必要があった。  「スマートメーター」は通信機能が付いたもの。検針に人手をかけることなく、新電力の会社が契約者の電気の利用情報を集めて料金請求に使う。設置は無料。約3週間後、自宅を不在にしていたが担当者が外のメーターを取り換えてくれ、10月から県民エナジーの電気を使い始めた。 料金20円安く  それから約10カ月。以前と同様に問題なく使えており、快調だ。逆に言えば特に変化はない。「突然停電になるのでは」という人もいるかもしれないが、心配無用。電力会社を変えても同じ送電網を使うため、家に届く電気の「質」が変わるわけではない。県民エナジーの場合、風力で足りない分は卸電力取引所から調達しており、どの発電方法で生まれた電気を使っているのか区別はできない。  自由化で期待されるのは、新規事業者の参入で競争が生まれ、電気料金が下がることだ。だが、県民エナジーの場合、劇的に安くなったという実感はない。利用プランや使用状況にもよるが、30アンペアの契約である記者の場合、東北電を使っていた時と比較すると、使用電力量がほぼ同じだった1カ月分の料金は、使用量に応じて決まる「従量料金」が県民エナジーの方が約20円安い程度だった。