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Googleアラートから新電力関連の情報を集約

電気の環境性やストーリーに注目を ― 「RE100」検討の企業向け新電力ガイド

企業活動で使用する電気を、再エネなどに変えることは環境経営の第一歩。電力の自由化が進み新電力が数多く登場する中でその選択肢は多種多様に増えている。そこで新電力の研究を行う京都大学プロジェクト研究員 稲垣 憲治氏にRE100の加盟やSBTを検討する企業向けの新電力の選び方について寄稿してもらった。

環境・社会・企業統治を重視するESG投資などの流れにより、持続性のある事業活動のため、環境性にこだわった電気の選択が拡大しています。その象徴は、企業が使用する電力を100%自然エネルギーに転換することを支援する国際的なイニシアチブ「RE100」への相次ぐ日本企業の加盟です。日本で初めてリコーが参加したのを皮切りに積水ハウスなどが続き、日本では大手7社が登録されており(2018年5月30日現在)、今後更なる増加が見込まれる状況です(世界ではアップル、グーグルなど約130社が登録)。これらRE100に参加する企業の多くは、温室効果ガス削減目標を設定しており、その一環として再エネ電気の調達目標を定め、RE100に参加しています。

表1 RE100登録の日本企業一覧

企業名 再エネ電力活用目標

株式会社リコー 2030年までに少なくとも30%、2050年までに100%

積水ハウス株式会社 2030年までに50%、2040年までに100%

アスクル株式会社 2025年までに本社及び物流センターで100%、2030年までに子会社を含めたグループ全体で100%

大和ハウス工業株式会社 2030年までに使用電力量を上回る再エネ供給(売電)を図り、2040年には当社グループの使用電力を100%再エネで賄う

ワタミ株式会社 2035年までに50%、2040年までに100%

イオン株式会社 2050年までに100%

城南信用金庫 2030年までに50%以上、2050年までに100%

電気の環境性の指標は、排出係数と再エネ率

環境性の高い電気の選び方の指標として、(1)排出係数(2)再エネ率があります。まず、排出係数については、毎年、環境省経済産業省が共同で小売電気事業者ごとの排出係数を公表しています。公表されている最新の2016年度実績では、6社が排出係数(調整後)ゼロとなっています。また、排出係数ゼロの電源を切り出し、電気メニューを作る動きも出てきています。例えば、東京電力エナジーパートナーが、大規模水力発電所を主力電源とした排出係数ゼロの電気として、高圧需要家向けの「アクアプレミアム」、低圧需要家向けの「アクアエナジー100」を販売しています。また、エネットもFIT対象となっていない小水力発電等のCO2排出係数がゼロの電気を活用した「グリーンメニュー」を限定的に提供しています。

次に、再エネ率については、各小売電気事業者が公表する電源構成から確認できます(電源構成は公表義務がないため、確認できない場合もあります)。例えば、プレミアムグリーンパワーは、ウェブサイトにおいて電源構成を「再エネ電源比率+リサイクル電源比率」94%(2016年度実績)と打ち出しています。

なお、FIT電気の環境価値は賦課金を支払う需要家に帰属すると整理されていることから、FIT電気の排出係数(調整後)は火力発電なども含めた全国平均の排出係数となることに注意が必要です。

北海道、節電本格化 厚真町で新たに男性1人が心肺停止

震度7を観測した地震で全域が一時停電となった北海道では10日、電力の供給不足を補うため、節電の取り組みが本格化した。経済産業省や道は住民や企業に2割の節電を呼びかけており、計画停電も検討している。官公庁や公共交通機関は照明の減灯や運行本数の削減などを始める。

職場などに向かう人たち(10日午前、札幌市中央区)

道によると、9日に新たに4人の死亡が確認されたほか、10日午前2時すぎ、厚真町で男性1人が心肺停止の状態で見つかった。道警は安否が分かっていない男性(77)とみて身元の確認を急いでいる。

これまでに死亡が確認されたのは厚真町の35人のほか、むかわ町新ひだか町苫小牧市、札幌市で各1人の計39人。負傷者は664人。2544人(9日午後10時現在)が避難所に身を寄せている。

全半壊した建物は計50棟に及び、安平町、平取町北広島市日高町むかわ町で避難指示が出ている。道内の断水は9日午後10時現在、5市町約8300戸まで減少したが、厚真町では全約2100戸で断水が続き、自衛隊などが給水支援を行っている。

高橋はるみ知事は9日の記者会見で、平常より2割の電力削減が必要とした上で「大変に厳しいが、計画停電や再度の停電が生じれば、復旧途上にある暮らしや企業活動への影響は大きい」と道民や企業に協力を求めた。

道や札幌市は所有する施設で冷暖房やエレベーターなどの使用を抑制。JR北海道は札幌と旭川、室蘭を結ぶ特急の一部を運休する。札幌市営の地下鉄や路面電車も日中に運行本数を減らす。

消費者にもおすすめ「小売電気アドバイザー」資格の受講料割引キャンペーン実施

RAUL株式会社は、8月末まで予定していた「小売電気アドバイザー」資格の受講料割引キャンペーンを、9月末まで延長すると発表した。

受講料が10%割引

「小売電気アドバイザー」は、「NPO法人 日本住宅性能検査協会」が管理・運営している資格で、正しい電力の知識や最適なサービスを選択するサポートができるスキルの証明だ。

資格取得に適した人材としては「電気小売り事業を行う企業の責任者・販売担当者など」「電力小売りに参入しようとしている企業担当者」「電力参入コンサルティングを行う人」「最もメリットを得られる電力選びがしたい消費者」など。

資格の取得は全5時間の講習参加とレポート提出をすることででき、講習では、制度全体に係る基礎的な知識から、顧客対応実務に必要な専門的知識までを学び、レポートでは、特定非営利活動法人日本住宅性能検査協会の評価で、一定水準以上の成績を収めることで資格が認定される。

資格試験の申し込みや会場の確認は「応募フォーム」ででき、受講料は通常29,800円で、受講料割引キャンペーンとして、「応募フォーム」の紹介元団体の欄に「エネルギー情報センター」か「新電力ネット」と記載することで受講料が10%割引の26,820円となる。

四国電力、イチゴ生産で新会社/農業振興へ担い手育成

 四国電力は7日、銀座千疋屋(東京都中央区、齋藤充社長)などと共に、香川県などで栽培されるイチゴ品種「女峰」の生産拡大と地域農業の担い手育成を目的とした新会社「あぐりぼん」を10月1日に設立すると発表した。社員数人を新会社に派遣し、提携する香川県三木町のイチゴ農家から栽培ノウハウを学ぶ。同日、銀座千疋屋の齋藤社長と共に会見した四国電力の佐伯勇人社長は「経験ない事業で未知数だが、将来的に四国の農業活性化につなげていければ」と思いを語った。

 今年12月には三木町で約8600平方メートルの生産施設に着工。来年12月に初出荷する。5年後に年間生産量30トン、売上高6千万円を目指す。

地域新電力事業に参入へ 県内自治体で初 民間販売は2年目以降 /宮崎

小林市が、市内で発電された再生可能エネルギーを買い取って事業者や家庭に販売する「地域新電力事業」に参入する準備を進めている。「電力の地産地消」といわれる地域新電力には全国で自治体の参入が相次いでいるが、県内での参入は初めて。資源エネルギー庁によると熊本県の小国町、鹿児島県の日置市いちき串木野市肝付町も取り組んでいる。

 小林市は昨年3月、100万円を出資して地域新電力会社「グリーンシティこばやし」を設立。今月の一般会…

猛暑も電力余力 節電、融通、再エネで

エアコンを夜通し動かしておかないと、命が危うい猛暑の夏-。それでも電気は足りていた。3・11の教訓を生かした賢い省エネ、そして電力融通の基盤整備が、エネルギー社会の未来を切り開く。

 七月二十三日。埼玉県熊谷市で国内観測史上最高の四一・一度を記録した猛暑の中の猛暑の日。東京都内でも史上初めて四〇度の大台を超えた。

 冷房の使用もうなぎ上り。午後二時から三時にかけての電力需要も、この夏一番の五千六百五十三万キロワットを記録した。

 それでも最大需要に対する供給余力(予備率)は7・7%。“危険水域”とされる3%までには十分な余裕があった。

 その日中部電力管内でも3・11後最大の二千六百七万キロワットに上ったが、12・0%の余力があった。

 東電も中電も、震災後に原発は止まったままだ。この余裕はどこから来るのだろうか。

 最大の功労者は省エネだ。計画停電を経験した3・11の教訓を受け止めて、家庭でも工場でも、一般的な節電が当たり前になっている。これが余力の源だ。

 そして、再生可能エネルギーの普及が予想以上に原発の穴を埋めている。猛暑の夏は太陽光発電にとっては好条件とも言えるのだ。

 むしろ最大のピンチに立たされたのは、昨年から今年にかけて四基の原発を再稼働させた関西電力ではなかったか。

 七月十八日。火力発電所のトラブルなどが重なって供給率が低下し、予備率3%を割り込む恐れがあったため、電力自由化を見越して三年前に発足した「電力広域的運営推進機関」を仲立ちとして、東電や中電、北陸電力などから今夏初、計百万キロワットの「電力融通」を受けた。

 3・11直後、東日本と西日本では電気の周波数が違うため、融通し合うのは難しいとされていた。だが、やればできるのだ。

 震災当時百万キロワットだった周波数変換能力は現在百二十万キロワット。近い将来、最大三百万キロワットに増強される計画だ。

 北東北では、送電網の大幅な拡充計画が進行中。地域に豊富な再生可能エネルギーの受け入れを増やすためという。

 地域独占からネットワークへ、集中から調整へ、原発から再エネへ-。電力需給の進化は静かに、しかし着実に加速しているのではないか。

 猛暑の夏に、エネルギー社会の近未来を垣間見た。

[攻防 電力・ガス自由化]四国電力、10月に新料金/電化で最大1割安く

◆再エネ100%プランも

 四国電力は31日、家庭向け新料金プランとして、「でんかeプラン」と「再エネプレミアムプラン」を10月1日に導入すると発表した。電化住宅の普及拡大を狙った「でんかeプラン」は、IH、エコキュートなど電化機器の設置により料金を最大10%割り引く。「再エネプレミアムプラン」は、環境に関心の高い顧客向けに再生可能エネルギー100%の電気を提供する。いずれもきょう3日から申し込みを受け付ける。

 「でんかeプラン」は基本料金と電力量料金の合計額から、IHを設置すると5%、エコキュートなど電気給湯機を設置すると5%を割り引く。両方設置していれば「でんか割」として10%の割引が受けられる。9月1日から年末にかけて、新規加入者向けのキャンペーンも展開し切り替えを促す。

TOKAI Research Memo(4):再生可能エネルギー事業を2019年4月より子会社を設立して始動

■今後の見通し

1.再生可能エネルギー事業の取り組みについて

2018年8月13日付でTOKAIホールディングス<3167>は、新電力会社のみんな電力と資本業務提携を締結し、再生可能エネルギー由来の電力販売等を行う100%子会社を2019年4月に設立し、事業化に向けた検討に着手したことを発表した。2019年以降、電力の固定価格買取制度(FIT)による買取期間が終了する太陽光発電設備の電力を買い取り、新設する子会社で販売していくことになる。実際の販売はグループ会社や地域の工務店などの代理店も活用していく。

まずは静岡県内の法人・個人、公共施設向けなどへ販売し、その後、同社のCATV等のサービスエリアに販売エリアを拡大していく予定にしている。また、再生可能エネルギー由来の電力販売を全国のガス事業者やCATV事業者とのアライアンス施策として積極的に活用するなど、M&Aのフック役としての役割にも期待している。

みんな電力の特徴は自社の電力取引プラットフォームにブロックチェーン技術を実装し、電源由来証明(どの電源の電力を購入したのかの証明)の発行や、個人・企業間での電力直接取引など先進的なサービスを実現可能にしていることにある。特に、電源由来の証明に関しては環境意識の高い法人・個人向けに需要があると見られる。ここ最近ではESG(環境・社会・ガバナンス)に対する取組みを強化する企業が増えてきており、RE100加盟企業※等の環境意識の高い法人や自治体向けに再生可能エネルギー比率100%のプレミアムプランのメニュー化も検討していくとしている。具体的な事業計画の発表は2018年11月に予定している。

※RE100:使用する電力の100%を再生可能エネルギーにより発電された電力にすることに取り組んでいる企業が加盟している国際的な企業連合。2018年5月時点で世界132社が加盟しており、日本ではリコー<7752>やイオン<8267>、アスクル<2678>など7社が加盟している。

2019年3月期業績はCATV事業等の好調持続で2期ぶりに過去最高益を更新する見通し

2. 2019年3月期の業績見通し

2019年3月期の連結業績は、売上高が前期比5.1%増の195,600百万円、営業利益が同27.2%増の13,960百万円、経常利益が同24.0%増の13,880百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同19.6%増の7,920百万円と期初計画を据え置いている。売上高は2期連続増収で5期ぶりに過去最高を更新、利益ベースでは2期ぶりに過去最高を更新することになる。

営業利益の増益額は約30億円となるが、その内訳は2018年3月期からの顧客件数増加に伴う増収効果で21億円、2018年3月期に投下した顧客獲得コスト等の先行コストの減少で8億円となっている。2019年3月期も顧客件数の増加に取り組んでいく方針で、2021年3月期に向けた成長の基盤づくりを進めていく方針だ。なお、2019年3月期末の顧客件数は前期末比65千件増の2,941千件を見込んでいる。

なお、第2四半期以降のリスク要因として、LPガス事業の収益悪化リスクが挙げられる。夏場の気温が高めで推移したことで第2四半期も単位当たり販売量の減少が想定されるほか、原材料価格の上昇傾向が続いており、価格転嫁までのタイムラグによる原価率上昇で、同事業の収益が計画を下回るリスクがある。ただ、第1四半期同様、CATV事業の好調が続く見通しであることから、通期計画の達成は可能と弊社では見ている。

主要3事業の業績見通しについて見ると、ガス及び石油事業については、顧客件数の増加により売上高で前期比3%増収を見込む。営業利益は顧客件数の増加による利益増で9億円、解約防止コストの減少で5億円の増益となる一方で、単位消費量の減少で3億円、エリア拡大による拠点コスト増で1億円の減益を見込み、全体では10億円の増益を見込んでいると見られる。新規顧客獲得件数は前期の47千件から60千件まで増やすことを目標としている。2018年3月期に新規進出した岡山県岐阜県、2018年6月に進出した福岡県での顧客獲得が期待される。なお、2020年3月期には新たに三重県や長野県への進出も予定している。

情報及び通信サービス事業については、売上高で前期比3%増収を見込む。法人向けについては順調に伸びるものの、コンシューマー向けが顧客数減少に伴い伸び悩むと見ている。一方、営業利益については「LIBMO」や光コラボの販促費減少及び法人向けの増収効果により2ケタ増益を見込んでいるようだ。

CATV事業については売上高で前期比7%増収、営業利益で2ケタ増益となる見通し。顧客件数は前期末比29千件の増加を見込んでいる。第2四半期以降も放送・通信のセット契約率上昇により、収益性向上が期待される。

レオパレス21、アパート入居者向け電力の提供開始

株式会社レオパレス21は、H.I.S.グループのハウステンボス株式会社の子会社「HTBエナジー株式会社」と、電力小売に関する業務提携について合意し、アパート入居者向け電力の提供開始すると2018年8月30日に発表した。

アパート契約と同時に電力契約が可能に

レオパレス21では、単身向け賃貸アパートの運営管理を行っており、全国約57万戸の管理戸数を有しており、現在、地球環境にやさしい社会の実現を目指して、管理物件共用部のLED化によるCO2削減や、グループ会社「株式会社レオパレス・パワー」による再生可能エネルギー発電事業に取り組んでいる。

HTBエナジー株式会社」では、2016年4月より全国で小売電気事業に取り組み、需要家数が10万件を突破しており、電力供給に加えて省エネ商材の取り扱い、生活トラブル手助けサポートサービスの提供、エイチ・アイ・エスの旅行割引サービスなどさまざまなサービスも合わせて展開している。

レオパレス21と「HTBエナジー株式会社」は今回、業務提携を通じて、全国189店展開中のレオパレス21直営店舗でアパート契約する際に、「HTBエナジー株式会社」が供給する低価格な電力契約をアパート契約と同時に申し込めるように、2018年10月1日よりするとのことだ。

また、レオパレス21のパートナーズ店舗(フランチャイズ)116店についても、順次、申し込みを開始する予定で、「HTBエナジー株式会社」は業務提携を通じて今後、電力供給以外のエネルギーを切り口としたサービスについても提供していくとしている。

中部電、ホテルに参入 名古屋・栄に複合ビ

中部電力はホテル市場に参入する。全額出資子会社の中電不動産(名古屋市)が3日、名古屋の繁華街である栄地区でホテルと商業店舗の複合ビルを建設すると発表した。電力小売り自由化で本業のエネルギーは競争が激しくなっており、収益源の多様化を目指す。

地上16階建ての複合ビルを2019年3月に着工し、20年11月に開業する予定。投資額は未定。市営地下鉄矢場町駅から徒歩7分の場所にあり、商業施設「ラスキーオンザパーク」の跡地で現在はコインパーキングになっている。敷地面積は1220平方メートルで、延べ床面積は8090平方メートル。

1~2階が商業フロア、3階以上がビジネスホテルとなる。福岡地所グループのエフ・ジェイホテルズ(福岡市)が運営するビジネスホテル「ホテルフォルツァ」が中部地区に初進出する。客室数などは検討中という。商業フロアは店舗面積970平方メートルで、1社に1~2階をまとめて貸し出すか、区画を分けて貸すか検討している。

栄地区では百貨店の丸栄が閉鎖した後の跡地開発や、中部日本ビルディング中日ビル)の建て替え計画などが進む。名古屋駅地区では27年のリニア中央新幹線の開業をにらんで大型ビルの建設が相次いだが、栄地区でも再開発が活発だ。中部電は不動産開発の日本エスコンと資本業務提携するなどグループ全体で再開発に注力する。

四国電力が新事業を相次ぎ打ち出している。四国では人口減少が加速する中、2016年4月の電力小売り全面自由化を契機に競争が激化し、電力販売の伸びは期待しにくい。伊方原子力発電所の司法による運転差し止めも追い打ちをかけ、四国電の連結売上高の8割以上を占める電気事業の収支環境は厳しさを増していることが背景にある。 「目減りする電気事業にかわる収入源を得たい」。四国電の佐伯勇人社長は30日、同社初のベン

経済産業省認可法人、電力広域的運営推進機関(広域機関)は29日、大手電力の供給エリアを越えて送電する電力について、10月から全量を日本卸電力取引所(JEPX)経由にすると発表した。これまでは発電側と小売り側の相対取引が中心だったが、発電所を持たない新電力などが電気を買いやすくなる可能性がある。

地域をまたぐ送電線のルールを改定する。送電線は「先着優先」と呼ばれる制度がある。利用を先に申し込んだ事業者が使えるようになっているが、地域間の連系線ではこれを改める。

送電線では太陽光や風力発電の増加を背景に空き容量不足が課題だ。稼働していない原子力発電所などが枠を占有している非効率さを指摘する声があり、この点についても経産省や広域機関が見直しを進めている。

関電、子供の見守りサービス参入 高齢者安否確認も年内導入へ

関西電力が、スマートフォンに子供の最新の位置情報や移動履歴を通知する見守りサービスの提供を新たに始めることが28日、分かった。IT企業のビーサイズ(横浜市)と提携し、関西エリアの顧客を中心にサービスを売り込む。同様の事業には中部電力中国電力がすでに参入。電力・ガスの小売り全面自由化以降の厳しい競争環境の中、暮らしに役立つサービスを充実させる動きが電力業界で広がっている。

新たなサービスは、全国で利用可能で有料。小型の専用端末を子供に持たせることで、位置情報や移動履歴をスマホのアプリを通じてリアルタイムで確認できる。

 登校時間や下校時間などを知らせる機能があり、人工知能(AI)が自宅や学校、塾など子供が頻繁に訪れる場所を学習する。近くサービスの受け付けを始める。

 関電は見守りの対象者として、毎日の行動パターンが決まっている小学生などを想定しているが、高齢者の見守りにも活用できる。

 衛星利用測位システム(GPS)や携帯電話の基地局の電波を利用するため、対象者が屋内や地下にいても位置の特定は可能という。

 関電は昨年1月、家庭で普及が進むスマートメーター(次世代電力計)を活用し、主に高齢者宅で電気使用量が極端に減った際などに家族に異変を知らせるサービスをスタート。需要があったことから、屋外でも利用できる見守りサービスを検討していた。

 関電はスマートメーターを使った異変の通知サービスについても、家族からの要望があった場合に高齢者宅などに駆けつけ、安否を直接確認するサービスを年内にも導入する方針。

 共働き世帯の増加に伴って、見守りサービスの市場は今後も拡大するとみられ、警備業界だけでなく、電力会社やガス会社、鉄道会社からの参入が相次いでいる。

【インタビュー】「エネルギーの自由化はなぜ必要なのか?」―山内弘隆 氏(前編)

日本の電力・ガスシステム改革の目的とは

―そのような中で、日本の電力・ガスシステム改革はどのような特徴を持っているのでしょうか。

山内 日本で電力・ガスに関するさまざまな改革が始まったのは1995年からのことです。日本の電力システムは以前から民営で、民間企業が発電・小売・送配電のすべてを担っている、どちらかと言えば欧州より米国に近いものでした。ただ、日本は米国と異なり国土が狭いこともあって、地域独占型の一般電気事業者(発電から送配電まで担う従来型の電気事業者)が存在していました。

この電力・ガスシステム改革の最大の目的は、競争が可能な分野については競争を促すことで、効率性向上やコスト削減を目指すことです。ただ、改革開始当初は、企業や工場など大規模なエネルギーが利用される分野では競争が可能だが、家庭向けエネルギー分野では事業者間の競争を起こすのは難しいのではないかと考えられていました。

ところが、家庭向けエネルギーの自由化は当面見送るという方向に進みつつあった2011年、東日本大震災が起こり、それに伴って東京電力福島第一原子力発電所の事故が発生しました。このことによって、電力・ガスシステム改革に新たな観点が加わりました。

それはまず、社会的リスクをできるだけ小さく抑えるため、大規模集中型のエネルギー供給システムから、分散型や地産池消の供給システムへと移行することが望ましいのではないかといった観点です。また、さまざまなリスクをはらむ原子力発電やCO2を多く排出する化石燃料よりも、再生可能エネルギーを利用すべきではないかという議論も広がりました。つまり、東日本大震災とそれに伴う原子力発電の事故から得た反省を、電力・ガスシステム改革の中で活かそうという気運が高まったのです。

時を同じくして電力分野では、「スマートメーター」や「HEMS・BEMS」、「スマートグリッド」などのさまざまなイノベーションが登場してきました。これらは、エネルギー消費面でのデジタル化、スマート化を促進するものです。また、電力に必要とされる「同時同量性」(需要の量と供給の量を一致させること)を制御できる技術を発展し、活用すれば、発電事業・小売事業・送配電事業を分割しても適切な電力の運用が可能になることが明らかとなりました。こうした革新的な技術を電力・ガスシステム改革に活用することで、さらなるイノベーションの誕生を促すべきであるという議論も高まりました。このような観点も加わって、現在の電力・ガスシステム改革が進められています。

適正な競争を促し、従前の組織が持っていた良さを引き継ぐための制度作り

―インフラ事業を市場に任せてしまうと、過当競争が起こるのではないかというような懸念があると思いますが、大丈夫なのでしょうか。

山内弘隆氏

山内 歴史的に見ると、日本の電力会社では、過去に激しい競争がおこなわれた時代がありました。「電撃戦」と呼ばれた過当競争で、およそ3回起こっています。まず、大正時代に起こった火力発電の競争。3つの電力会社が苛烈な競争を繰り広げ、当時の東京市長だった奥田義人氏が仲介に入りました。その後、今度は水力発電で競争が起こります。さらに送配電技術が発達すると、今度は中部地域や関西地域で事業を営んでいた電力会社が関東へと進出し、関東の電力会社と競争することとなりました。鉄道においても、同一区間で複数企業が並行して自社の線路を敷く、運賃をどんどん割引いて最後は粗品も付けるなどの過当競争が起こったことがあります。

しかし、近年のインフラ事業の自由化は、ネットワークには競争をさせず、従来の独占を維持させておくという方法を採っています。日本の電力システム改革でも、ネットワークにあたる送配電網は従来の地域独占型を維持させ、そのネットワークを経由して電気を販売する事業や発電する事業で競争をさせるという設計になっています。これはジョスコウ&シュマレンシーの理論にも合致するものです。

英国は鉄道でも同様の方法を採っており、ネットワークに当たる線路網は一社が独占し(2002年までレールトラック社、現在はネットワーク・レール社)、その上を各社の列車が運行するという仕組みになっています。英国のその試みはなかなか上手くいってはいないようですが、エネルギーについては、前述したような運用に役立つ技術が発達していることから、適正な競争環境を構築できるのではないでしょうか。

―災害時の対応に関してはいかがでしょう。自由化は影響してくるのでしょうか。

山内弘隆氏

山内 そうですね。たとえば電力システムの改革では、これまで同一組織内で垂直的に統合していた業務を、発電・小売・送配電に分割しました。かつての垂直統合的な業務の進め方は、経済学では「組織の経済学」と言いますが、組織内の別部署と共に業務を進めることで、摺り合わせを容易におこなうことができます。たとえば自動車メーカーが新しい自動車を作りたいと考えた時、望む強度と形状のフロントガラスが市場にすでにあるとは限りません。そこで組織内の別部署と共にフロントガラスを開発すれば、安いコストで製造でき、うまく摺り合わせることもできます。しかし、組織を分割したことで新しい事業者と協業することが必要となれば、摺り合わせがうまく行くとは限りません。

今年の冬、東京電⼒圏内では積雪で太陽光発電の出力が低下し、さらに火⼒発電が故障して、電⼒不⾜のリスクが⾼まりました。あの時は電力広域的運営推進機関(通称:広域機関)が他地域の電⼒会社へ電⼒融通を指示して事なきを得ましたが、あれこそ摺り合わせが必要な場面です。同⼀組織内ではなくなったことで、そうした摺り合わせがいつも上手くいくだろうかという懸念はあります。特に、今後さらに競争が進み、さまざまな事業者が新しく参⼊してくればどうなるでしょうか。

そのためにも、太陽光発電など変動性の高い電源の予測値を発電計画に取り入れるタイミングや手法についてなど、スムーズな摺り合わせを促すための制度を現在議論しています。2018年6月に起こった大阪府北部地震の際は、全国からガス技術者が関西に集まり、復旧に尽力しました。市場の競争を進めつつも、あのようなスムーズな摺り合わせができる関係をどこまで残していけるかということが自由化の課題になっていくでしょう。

―後半で

【インタビュー】「電力・ガスシステム改革の評価とこれからの課題」―山内弘隆 氏(後編)

公共経済学や公益事業論を専門とし、総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会電力・ガス基本政策小委員会(以下、電力・ガス基本政策小委員会)でも委員長を務める山内弘隆氏のインタビュー。前編サイト内リンクを開く「エネルギーの自由化はなぜ必要なのか?」に続いて後編では、電力・ガスシステム改革の現状についての評価、残された課題や今後必要となる施策などについてうかがいました。

電力システム改革後、スイッチング率はフランスを上回り評価すべき数字

―電力・ガスシステム改革の現状をどのようにご覧になっていますか。

山内 電力については2016年4月に小売全面自由化が、都市ガスについては2017年4月小売全面自由化がおこなわれました。電力では、いわゆるスイッチング率を指標として見ると、まだまだじゅうぶんではないという議論もあります。しかし、市場全体の13%ほど(家庭用8.4%、産業用5.6%)という現在のスイッチング率は、電力自由化後に徹底的な競争促進策を採った英国に比べれば低いものの、フランスと比較すれば上回っています。これは評価すべき数字だと思います。

日本では、急進的な政策は一般的に好まれず、改革も慎重を期す傾向があると思います。そのような慎重な施策で10%超というのは、妥当な数字ではないでしょうか。企業で考えてみれば、売上高が10%減少するというのは大きな数字です。それだけの契約が旧電力会社から新電力会社へと移行したのです。旧電力会社は市場の圧力をかなり感じているのではないでしょうか。

もうひとつ指標となるのは、事業者の新規参入状況です。電力の場合、市場が大きいこともあり、新規参入事業者はかなり多く、新しいビジネスが育っていると言えるでしょう。全面自由化から1年半が経過し、撤退する事業者も出始めてはいますが、これは市場を見通すことが可能になってきたということです。今後は、きわめて新しいアイデアを持つ事業者や、イノベイティブな経営や販売手法を採っている事業者が伸びる段階に入るのでしょう。

―新規参入の電力会社でシェアを獲得しているのは、どういった企業なのでしょう。

山内 まず、顧客とのチャンネル、コンタクトポイントを元々持っている企業です。たとえば低圧部門の新電力会社として多くのシェアを獲得しているKDDIは、携帯電話の機種交換などでショップを訪れた顧客に対し、待ち時間に電力の営業をしているそうです。ガス大手各社も電力分野に参入していますが、これらの企業も、保安検査で顧客宅を訪問するというコンタクトポイントを持っています。

実は、ガスシステム改革を議論する際、実際の現場を見る必要があると考え、東京ガスの子会社ライフバルの保安検査に同行したことがあります。一人暮らしの高齢者などにとっては、自宅にやって来る保安検査のスタッフは何でも頼める相手という認識で、壊れたものの修理や電球交換なども相談するのです。その様子を見た時、電力自由化が実施された暁にはガス会社は多くのシェアを獲得できるのではないかと予想しましたが、実際にそうなりました。

さらに最近は、対面販売だけでなく、インターネットを通じた顧客への営業も盛んになりつつあるようです。それだけ需要家が「電力自由化」とは何かを理解し、スイッチングの方法が分かるようになったということです。KDDIはこの動きを重視し、自社サイト内に電力に関するコンサルティングサイトを開設して電気の使い方と電気料金のアドバイスをおこなっています。また、電気と他のサービスをバンドリングしたプランもかなり顧客を獲得していますね。

ガスシステム改革がもたらすのは最も効率的な供給方法と技術革新

―ガスについてはいかがでしょうか。

山内 ガスについては、数字を見てもまだ新規参入事業者の数がじゅうぶんではないとの見方もあると思います。ただ、ガス機器の販売や機器のメンテナンスを安価にする事業者の登場など、競争の効果は現れつつあると感じます。

―電力とガスは性質の異なるものですから、一口に「自由化」と言ってもなかなかパラレルには進まないということでしょうか。

山内弘隆氏

山内 そうですね。まず、全国に送配電網が張り巡らされている電力と、極めてローカルなネットワークしか存在しないガスでは、売り方や新規事業者の参入方法も当然異なってきます。

2つ目は供給工程の違いです。たとえば都市ガスの場合、上流工程には海外のガス田があり、ガス事業者はそこで採掘したガスを自社の船で日本まで輸送して、ネットワークを経由して供給します。特に日本のガス事業者のガス専用船の運用などは、海外の有名大学でケーススタディとして研究されるほど特徴的な仕組みです。さらに現在では、日本のガス事業者はガス田への投資もおこなっています。非常に垂直統合が進んだ産業ではないかと思いますし、その意味では、調達から輸送・蓄積・供給というガス産業の一連の流れは、電力より参入ハードルが高いのかもしれません。現在、ガスの輸入基地を他企業へと開放する制度改革を進めていますが、ガス輸入基地は各企業の私的財産でもあり、どのように開放するかという点は議論の分かれるところです。また、電力のような卸売市場が存在しておらず、今後、市場の開設をおこなう必要も生じるかもしれません。

ただ、ガスは都市ガスとプロパンガス(LPガス)の競争、またオール電化との競争をおこなっており、その観点ではすでに競争が起こっているとも言えます。そうした実態についても評価すべきです。

今後、ガスのシステム改革を通じて、最も効率的なガスの供給方法が模索されていくでしょう。ガス管というネットワークを敷いて集中的に供給する都市ガスのシステムは、人口が集中している地域でしか成立し得ないものです。将来的には、人口減少によって人口密度が下がった地域では、シリンダーでガスを輸送するプロパンガスの方が効率的だとして、ガス管による供給が廃止されるとことも起こるかもしれません。

もうひとつ、ガスシステム改革において抑えておくべきポイントは、ガスでも技術革新が起こっているということです。先日発表された第5次エネルギー基本計画では、水素を将来の主力エネルギー源のひとつにしていくことが明記されましたが(サイト内リンクを開く「新しくなった『エネルギー基本計画』、2050年に向けたエネルギー政策とは?」参照)、ガスは水素と高い親和性を持ちます。そこで、たとえば再生可能エネルギーで電気を作りすぎた時に、その電気を使って水素を作りガス管を通じて供給するという実験もおこなわれています。また、ガスから水素を作る動きもあります。こうした技術革新も、自由化の中で進んでいくことを期待しています。

細やかなチューニングをおこないながら、少しずつエネルギーシステム改革を進めるべき

―現在残っている課題は何でしょうか。

山内 適切な競争を成立させるための制度設計です。先ほどお話したガスの卸売市場もそうですが、市場をうまく利用しながら適切な競争ができるよう、議論を進めています。

たとえば、市場の競争が激しくなりすぎてしまうと、設備への投資インセンティブが削がれてしまい、長期的なエネルギーの安定供給ができなくなってしまいます。特に電力については、日本では節電が進んで電力使用量がだんだん減っていることもあり、投資へのインセンティブが働きづらくなってしまいます。しかし、将来に向けて、大規模な電源への投資は継続される必要がある。どのようにして投資インセンティブを確保していくか、考えていく必要があるでしょう。

電力では、ネットワークに関しても同様の問題があります。前編で申し上げたように、日本や主要国では一社がネットワークを独占するという設計になっています。そのため、たとえ発電側に再生可能エネルギーなどの分散電源が増えたり、電力広域的運営推進機関(通称:広域機関)が「あるべきネットワークの姿」を定義したとしても、ネットワーク事業者がそれに応えてネットワークを構築する必要は基本的にはありません。そこで、ネットワーク事業者にインフラ投資をするインセンティブを与え、維持していくことが重要になります。これはEUで問題になっている点で、日本でも何らかの形で取り組む必要が出てくるでしょう。

さらに、作り置きができないという特性を持つ電気を市場に載せた上で、発電と消費の同時同量を実現し、安定供給を担保する必要があります。そのためには、どの時点でどれだけの電気が必要か、あるいはどれだけの需要があるのかといったことを効率的に組み合わせる、さまざまな装置や仕組みが必要です。そこで現在「容量市場」や「需給調整市場」、「環境価値市場」などの市場を作ることで補完をしようとしています。まるで金融分野のようですが、実は、電力取引はほぼ金融取引に近づいています。英国のOvo Energyは小売のプライシングとサービスで勝負している電力会社ですが、経営者は金融出身とのことで、おそらく金融分野で培った調達ノウハウを活かしているのでしょう。

とはいえ、全体的に見れば、日本の電力・ガスシステム改革は極端に振れることなく、うまく調整して進めることができていると捉えています。今後も、細やかなチューニングを行いながら、電気の特性や技術に通じた専門家と知恵を出し合って制度設計をしていくことが必要になるでしょう。そのような専門家は旧電力会社内にいることが多く、電力システムをトータルで見ることができます。そうした人材と、制度設計や市場構築ができる人材がきちんとタッグを組まないと、電力市場の構築は成功しません。日本の政策は慎重だと先ほど申し上げましたが、それでいいのではないかと私が考えるのは、エネルギーにはこのような難しさがあるためです。エネルギーシステム改革は、段階的に少しずつ進めるという方法が適しているのではないかと思います。